東芝の加藤は、「クルマの燃料電池車が増えれば、燃料電池の値段が下がり、結果的に燃料電池そのものが普及するのではないか」　と期待する。

　二〇〇〇年、私はドイツで行われたダイムラークライスラーの技術シンポジュームに招待されたが、その前年に大阪でダイムラーの関係者にインタビューをしたことがある。そこで燃料電池の関係者にいくつかの質問をぶつけてみた。私が最も知りたかったのは、なぜ彼らが燃料電池の開発に踏み切ったかということだ。その間いに答えてくれたのは、ダイムラーで燃料電池を担当するヨハネス・エブナー副社だ。
　「環境問題を踏まえ、ダイムラーは九〇年代初頭に、次世代のクルマはどうあるべきかとい第6章トヨタとホンダが見る夢
う検討に入った。既存のー内燃機関エンジン、電気自動車、ハイブリッド、それに燃料電池車が候補にあがった。それらの選択肢の中で、燃料電池車が二一世紀に最適だという結論に達したわルりです」さらに彼の説明にあった、「欧州の北海油田は今後四、五年で産出のピークを越える。