これは、世界の辛が中身的には同質化、均質化の方向に向かうことを示しているに他ならない。それだけに、「ウチの哲学はこうだ」「プライオリティはここに置く」、
「買ってもらうのはこういう人だ」「これこれのライフ・ステージにミートさせる」「こんな形で社会に貢献する」等々を明確にし、ユーザーによくわかるようにきっちりアピールしなければ受け入れてもらえないようになる。少なくとも、先進国の市場ではこうした方向になると私は考えている。「できるだけ多くの人に」とか「好かれることより嫌われないようにすることが大切」といった、今まで多くの日本車の底に沈殿していた、いわば「暖味な価値観」は断ち切らなカないような哲学なきリーグーをもつメーカーは消えてなくなるだろうし、哲学なき開発者の生んだ串も世に支持されることなく消え去る運命を辿ることになるだろう。成熟した社会では個々の価値観が明快になってゆくものだが、それは、今まで日本が多
く生み出してきた「顔のない優等生」の存在感を希薄なものにする方向性につながる。